日経ビジネスオンラインにて、ロンドンのクリエイティブエージェンシー CHI(CLEMMOW HORNBY INGE)のチャールズのTUGBOAT岡さんによるインタビューが掲載されている。
CHIでは、プロジェクトのキックオフ時に「ビッグ・アイデア」と呼ばれるブレインストーミングを行っているという。
岡 「ビッグアイデア」をどう行うのか、具体的に説明していただくと…。
C 広告制作を受ける前に、クライアントとわれわれはここで6週間、みっちりと議論するんです。テーマは「Product truth(商品の実像)」「Consumer insight(消費者の感知力)」「Company culture(企業文化)」 [Corporate ambition(会社の目指すビジョン)」の4つで、議論はそれぞれのチームに分かれて行います。
オフィスにはビッグ・アイデア専用の部屋が用意されている。
僕たちがウェブサイトやウェブサービスのプロジェクトをスタートするときに重視しているテーマは、「Context(そのサイト、サービスがおかれる文脈:主にビジネス的な要請)」「User(正しいユーザーの理解)」「Content(提供可能な、あるいは既存のコンテンツ)」という3つのカテゴリにわけて考えている。
CHIのビッグアイデアはこのうち「Context」の中で議論している。
僕たちの作る情報プロダクトは、広告とは異なり、ターゲットとする「ユーザー」に使ってもらうものとなる。
このため、この「Context」の中では、「User value proposition(ユーザーへ提供したい価値)」というものを定義する。
ちなみに、僕らが「Context」をまとめるため使っている、ドキュメントでは、このほかに、「Porject goal(プロジェクトはなにをもって成功とするか)」「Business goal(ビジネス的になにがあるとうれしいか)」といったプロジェクト定義や、競合状況や調査結果、仮説、大まかなユーザー像を記述する。
これは、僕が所属している米Information Architecture Institute(IA Institute) で提供しているツール(Creative Brief)をベースにして使っている。
User value propositionとは、簡単に言うと「その企業なりサービス主体は、ユーザーにどんなメリットや利益を与えたいと思っているか」 という方針だ。
おかしな話だが、ここをなおざりにしてSNSをやりたい、とかかっこよく見せたい、という手段にばかり目がいってしまい、そこを前提にしてしまっていることも多い。
こういったケースではほぼ100%プロジェクトは途中で目的を見失い、「あれもやりたい」「これもやりたい」ということになる。
Business goal、 User value propositionの定義に話を戻すと、プロジェクトが途中で始まらないことも多いが、大きな目で見るとそのほうがよいと思っている。
僕らが前述のCreative Briefを使い始めた頃は、まだそういった概念から入ること自体の理解が得られないことが多かった。
これに比べるとここ1年では、プロジェクトのスタート時にこういった定義を行うことは受け入れられている。
6週間、ここだけみっちりできるのは、全体スケジュール、プロジェクトのフィー体系の面から見てまだむつかしいところがあるが、最終的なプロジェクトの成果を考えると、たとえばプロジェクトスタート時にまる2日くらいどこかに泊まり込んで、合宿をするような形態であれば可能だろう。
この場合、プロジェクトを持ちかけたクライアント側に、2日で伝えきれるようにまとめあげることが要求されるので、どちらかというとクライアント側の難易度を上げてしまうことになるが。