思い出したようにまたFlickrを使い出すようになって、これまでiPhotoから数枚ずつ選んでアップしていたのが、撮った写真をある程度まとめて全部アップするようになった。Flickrのマイページ
となると、ローカルで整理するiPhotoやアップするFlickrのUIについていろいろ見えてきたのでメモ(長いです)。
(本当はMacBook Proを買ってAperture試用版もいれてみたのでそっちのUIも見たいんだけど、買ってすぐに修理になってまだ戻ってきていないのでそちらは後日)
まず、使用者の環境や用途をまとめると。
- 基本は趣味で写真を撮影、スナップ主体
- たまに露出とかの実験で同じ被写体を撮りくらべる(ブラケット撮影的な使い方)
- カメラは主に2台(リコーGRデジタルとニコンD80)、GRDはレンズ2種類(標準28mmとワイコン21mm)、D80はレンズ数本(魚眼、24mm、45mm、50mm×2、18-135mm)
- プラスで会社のデジカメ(LUMIXなど)などでの撮影もある
- 撮った写真をメモリーを全てローカルのiPhotoに転送して、メモリーは消去している
- 写真はだいたい3~5MBのJPEGで保存
- いまたまっている写真は全部で30GBくらい(いつもローカルに全部入っている)
- 主にプライベートの写真日記的なとり方だが、まれに仕事で取材メモを撮ったりもする
- 写真を見せたり共有したりする相手は、親家族、会社の人、友人、一般、でまれに「会社の人のみ公開」にしたいこともある
- 写真の利用はFlickrでの公開、blogでの公開、素材として利用、まれに紙に印刷
- iPhotoと.macの連携で.mac上に公開することもある
- iPhotoのエクステンションのFlickrExportでFlickrにアップしている
といった感じ。
Flickr以前の運用上の問題は:
- いつも全部の写真を持ち歩くのか
- iPhoto運用でよいか
- いつかスキャンしたいと思っているフィルムはここに加えていいのか
- 「共有する際はFlickrにアップ」というスタイルでよいか
ここからがFlickrの話。Flickrを使う上での課題は、
- 写真のアップ、編集時の課題
- 写真閲覧時の課題
に大別される。通常ウェブアプリケーションの課題や使い勝手は「2.写真閲覧時の課題」についてを指すことが多いが、こういったCGMサイトの場合は発信側の編集機能部分の重要性が高くなる。この部分の使い勝手でサイトのクオリティが高くなるとも言える。
Flickr内での情報構造についてまとめると、Flickrではすべての写真は、「Photo Stream(単純にPhotosとも呼ばれる)」という基本グループに所属する。この上で、「Set」「Pool」という単位でそれぞれ個人アルバム、テーマ別ライブラリに所属させることができる。また、それぞれの写真はFlickrを有名にした理由でもある「Tag」によって、タグ付けされ、これらのタグによっても写真を見つけ出すことができる。
通常の使い方としては、個人は写真をアップしたタイミングでその一連の写真を「Set」としてアップして、なにかイベントとか(結婚式とかカンファレンスとか)があって、それらの写真を集めたいときにグループを作って「Pool」に写真を登録する、ということを行う。
「Set」「Pool」ともに排他ではないので、たいていはアップしたくくりで「Set」を作って、だれかがイベントのグループを作って、そこの「Pool」に写真を登録、という流れになる。
また、それぞれの写真は各人が思い思いの「Tag」をつけるが、通常このタグは地名とかイベント名、固有名になると思われる。写真の数が少ないと写真に写っているものもタグやタイトルに入れるが、いっきに100枚とかアップすると面倒なのでまとめたタグになってしまう。とすると、タグとタイトルは同じような情報になってしまう。現在、タグがどう使われているかわからないが、当初グループやセットをタグで実現しようとしていたがうまくいかなかった、ということなのかもしれない。
あるいは、タグを積極的にセットとしてみなすようなUIを作ってしまうとこの流れは変わるかもしれない。これはiPhotoやMac OSXのUIでいうところのスマートフォルダの概念に近い。僕自身はMail.appやiPhotoではスマートフォルダはけっこうよく使っている。
余談だが06年のIAサミットでもfolksonomy(タグ付けによる分類)はそれ自体に限界があり、ウェブインターフェイスのPace Layeringにおいてもかなり表層(=変化する)レイヤーの構造に位置づけられている。
話を戻すが、FlickrのUIにおいては、この「Set」「Pool」「Tag」は「誰の?」という主語の考え方とUIが配置されているエリアとが混乱しているために、使いにくくなっている。
つまり、「私のSetを編集したい」「人気のあるタグを見たい」「自分のタグを見たい」「このグループのPoolに私のこのSetの写真を加えたい」といったアクションをしようとしたときに、画面のどのエリアからやり始めればよいか、が整理されていない。
ナビゲーションには「Your Set」とか主語は書いてあり、よくよく考えれば意味はわかるが、上段(グローバルナビ)と下段(「あなたの」ローカルナビゲーション)の役割分担が微妙だ。これは機能が追加されていってということだが、mixiのUIの課題と同じ種類であることを考えると、一般のウェブアプリケーションで起こりやすい問題と言えるだろう。
この対処としては、「誰が」に対応したエリア定義を行う、ブラウズと編集とでわかれたUIにする、ということが考えられる。わりと大仕事になるだろうが、けっこう使いやすくなることが想定できる。
もう一個混乱のもととして「オーガナイザー」がある。これは、通常のHTML版UIとは別のFlashを使ったGUIなのだが、ここのUIのコンセプトがHTML版とは全然異なっていて、かついろいろ開発中らしくて結構変わってしまうので、慣れることができない。
この画面では、「下部に並んでいるものを上部のパレットに移して、そこでバッチ処理を行う」という概念なのだが、ここ特有の課題としては「下から上に情報を移すことは一般的か」どうかというものがある。個人的には、上から下に移そうとしてとまどった。また、このパレットにどういう候補が呼ばれているのか(この画面を呼び出す際に選ばれていたものがここにくるのだが)がわかりにくく、思った候補が選ばれなく苦労した。
こういったGUIはタダでさえルールを覚えるのに苦労をするが、そのGUI自体がころころかわってしまうと、全く使えなくなってしまう。操作感自体はいろいろあってもいいのだが、さっきと同じく「どっちからどっちへ何をする」については整理しておくことで操作感は向上するであろう。
と、つらつらとFlickrの主に編集部分についての操作UIのことを書いてきたが、まとめると、
- 「誰が何をどうする」の文法が統一されていないので混乱を招いている
- その文法に則して画面エリアが定義されていないので、使いたいと思った機能に到達できない(しにくい)
ことがまずは大きな課題だと思われます。
閲覧については、スピードが大きな問題としてあげられるが、機能やサービス自体(容量無制限、タグによる分類、コメント/お気に入り機能など)は問題ないと思うのでぜひこのあたりの操作の思想について改善を図って、より使いやすくなってもらいたい。