本日からIAサミット参加のため日本を離れる。年度末で多忙ななかなので他のスタッフやプロジェクト関係者の方には申し訳ないところだが、その分フィードバック+戻ったら倍働きますので勘弁。
さて、昨年に引き続きカナダで開催されるIA Summit 06。去年はモントリオール、今年はバンクーバーと東端と西端とで、IA Summit参加者のほとんどをしめる米国人にはちょっとした旅行なだろうけど、二年続くってのもねえ。まあ、米国のへんなところよりはましだけど。ちなみに、僕が初めて参加したのは確か2002年でBaltimoreだった。
昨年はUAでシカゴ乗り換えでモントリオール入りしたのだが、行きは乗り継ぎがうまくいかず(さすがに乗り継ぎ時間45分はきついだろうに)、帰りは荷物が途中で忘れ去られとさんざんだったので、今年は直行便を選択した。米国は乗り継ぎで立ち寄ってもいちいち税関とかフルに通過しなければならなく、中継地として使うにはかなり適さない。
で、エアーカナダでチケットをとったのだが、なんと激混みで成田→バンクーバーがとれず、羽田→関空→バンクーバーという国内乗り継ぎコース。かなり面倒くさい。
いま関空のロビーでこのエントリを書いているのだが、実はせっかく乗り継ぎになってしまったのだから、噂に名高い(かは知りませんが)関空についてきちっと見てきてやろうと思っていた。のだが、結局特に収穫はない。というか成田と違いがわからない。
これは、国際空港というものが、
- チケット発行/荷物預け
- 手荷物検査
- 税関
- 免税店/ロビー
という一連の手続きを前提として、この「順路」から外れることが許されない、という制約による、と考えることができる。「順路」上で逐次的にお店やイベントが現れるので、実はここでは「地図」という絶対的な俯瞰図は全く用をなさない。それを見ている人には時間は存在しなく、すべての流れや手続きを無視して見られてしまうからだ。なので、出発前に空港の地図をいくら眺めても(羽田と関空の構内地図はかなり見たんだけど)まったくそれは行かせていない。結局逐次的に目に見える情報で「どっちに行くか」を決めることしかできないから(そもそも通常建築家とかIAとかじゃなければそれ自身の構造とかナビゲーションとかに興味を持つことはあんまりないだろうから、そもそもそういったメタ視点を持つこと自体が必要ないということがそもそもある)。
つまり、空港なんてのは目的の達成に最適化されていることが重要であって、動線計画の最適化が優れた空港の条件、ということになる。本当か?にしてもどうも海外の空港と比べると、関空と成田の類似度は高すぎる気がする。とするとこれは日本語圏での動線設計とサイン計画の持つ特徴、あるいは僕自身が日本語ネイティブで、その人間にとっての日本語ネイティブな空港と外国語でつくられたものとの違い、ということもありうる。これは飛行機で考えてみよう。まあ、一つ言えるのは、空間のとり方は印象がよいが、ナビゲーションはお世辞にもいいとは言えない。知りたい情報は離れたところからは遠すぎるし、目の前に来ると大きすぎて見過ごす。あと、自分が一連のプロシージャーのなかで、どこにいるのか、ここにいていいのか、移動しなければならないのか、がまったくわからない。というかわかるようなサインが見つけられない。成田より悪いかもしれない。
「絶対地図」という意味で似たことが羽田までの移動で使った京急品川駅でもあった。トランクと発表用のB0版ポスター、手荷物を抱えて品川駅の京急ホームへ到着。前方車両、後方車両という意味で、大きく「JALは↓、ANAは↑」と書かれてあるのだが、残念なことにその矢印が前方なのか後方なのかはどちらとも解釈できて、このサインはまったく意味をなしていなかった。だいたい、空港に行くなんて僕にとってはかなりまれなイベントで、どっちが前方車両かどうかすらわからない。
駅員をつかまえて(鉄っちゃんタイプ)「ANAなんですけど(本当はコードシェア便のエアーカナダだがそれはこの際どうでもよい)、どっちがいいんですか?」と尋ねると(前方と思われる方向を指しながら)「前3両目です」との力強い言葉。しかし、またまた残念なことに、このホームにはどこが3両目になるかの記載がまったくなく、またもやどこがいいのかわからなかった。まあ、方向だけはわかったのでいいんですけど。ちなみに羽田についたら2両目に乗っていたらしかったことがようやく判明。まあそんなものです。
その意味で、有名な「地下鉄乗り換え案内」はかなりすばらしい仕事であると思う。
去年のモントリオールはフランス語と英語のバイリンガル地域だったため、すべてのサインが二カ国語表示だった。たしかバンクーバーは英語表記なはずだが、どんなサイン思想なのかじっくりみてやろうと思う。
昨日はありがとうございました。
行ってらっしゃいませ。