いまさらですが、IA Summit 最終日所感メモ。
3日目は主としてWeb空間を飛び出したIAについてのセッションをとった。
Information Architecture in the Age of Algorithms / Giles Colborneは、Bot UIなどによる「サイト」を通じないダイレクトなインタラクションを想定したときの、内部モデルの考え方。データ – アルゴリズム – 結果(表現)の三層モデルとしてしくみをとらえ、結果が寄った状態(High bias)であれば、「間違っているかもしれないが、意味のある結果」であり、ばらけた状態(High variance)であれば、「間違ってはいないかもしれないが、意味のない結果」と読み解き、このトレードオフについて論じた。具体的な示唆を提示したわけではないが、こういった判断基準や見る目を我々が持たねばならないという意味で興味深かった。
また、白クマ本の共著者にも名を連ねるに至ったJorge ArangoのLands, Hubs, and Wienies Place-making Lessons From the Magic Kingdomでは、ディズニーランドを例にしながら、世界中のディズニーランドが普遍的に持つ構造を解きほぐし、その共通の(coherent)構造が、人々にもたらしているものが「場所性」であり、情報アーキテクチャにおいてもそれは必要なのではないか、という課題を提示していた。
いずれにセッションも、具体的なWebサイトなどの具体的な構築に関わるものではなく、視点や観点の提示であるが、いずれにもオントロジーやタクソノミーといった情報設計におけるプリミティブな要素を、Webよりもむしろ積極的に活用する必要があり、そういった意味でもIAの原点を見たような気がした。
また、異色であるが、IA Instituteが主催している世界同時開催イベントWorld IA Day(WIAD)をテーマに、The IA of WIADというセッションが行われた。ここでは、通常他人のメッセージを以下に伝えるか、という媒体役になりがちなIAが、自分が主体となって、情報をいかに展開するか、という題材に向き合った結果が述べられた。課題もありながらも、きちんと理論によって体系立てられた手法の活用によって効率的に進められたプロジェクトは、ケーススタディとしてもっとIAコミュニティで共有されるべき内容であると感じた。