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World IA Day 2013 東京 開催

今年も東京でのWorld IA Day(WIADj)が開催されました。

IAAJ | World IA Day 2013 Tokyo
http://iaaj.org/2013/02/02/world-ia-day-2013-tokyo/

Flickr | World IA Day 2013 Group
http://www.flickr.com/groups/wiadj2013/pool/with/8457609409/

今年は、グローバルのテーマが「Exploring and Expanding the Ontologies of IA(IAのオントロジーを探求・拡大する)」。そこで、日本ローカルのテーマとして「集合知」を掲げ、これまでのいわゆる構築的なIAに対して、枠組みから攻めていく、方向性について考えてみようとセッションを集めました。

2012年秋頃に、ローカルコーディネーターとして楽天の坂田君が立ち、彼を中心にしながら、IA Spectrumの浅野さん、ネットイヤーの坂本君、AKQAで活躍中のさとさんなどのメンバーも集まり、プログラムの検討を行いました。

結果としてプログラムでは、そのものずばりの集合知をコンテンツ化していったYahoo!知恵袋を実現させたARGの岡本さん、まさにビッグデータを扱っている当事者としての楽天技術研究所の森さん、これからのIAともいえるレコメンドを軸にした情報提供サービスGunosyの関さん、パターンランゲージを扱っている慶應SFCの井庭さん、といったそうそうたるメンバーにお話しをいただくことになりました。

前半がこれからのIAを担う新しいアプローチの探求、井庭さんのセッションがその方法論、アプローチの探求、という狙いは考えていましたが、今回のWIADj自体ではないですが、この「やわらかいアーキテクチャ」の上で、僕自身もたいへん多くの示唆を得ることができ、またあたらしい課題設定を行うことができたと思っています。

カンファレンス自体、去年に引き続きセッション→パネルという流れを基本フォーマットとしました。これは、スピーカーの人には自由に話してもらいながら、それをIA側のモデレータ(今回は坂本氏と長谷川)がIA側の議論にもっていくという形態です。

自由に聴衆から質疑をとるスタイルもありなのですが、こちらのほうが、カンファレンス全体をひとつの議論として成果にしやすいのではないか、と考えてのデザインです。

そのため、今回は特にパネルについては、リアルタイムドキュメンテーションを実施しました。

会場にいらっしゃった方はご覧になられたと思いますが、スタッフおよび会場のみなさんがリアルタイムでGoogleスプレッドシート上にキーワードを抽出していき、それをスクリーン上のキャンバスにマッピングしていく、というものです。

やってみるとわかるのですが、これはキーワード抽出、記述ともに情報デザインのセンスが問われる作業で、単純作業とはほど遠いものです。

僕自身、はじめてこのリアルタイムドキュメンテーションをやってみたのが、2001年の日本デザイン学会でのシンポジウムでしたが、現在はこだて未来大学の教授の原田泰先生といっしょに四苦八苦しながらやっていました。

今回はカンファレンスのアウトプットとしてもこの成果をきちんと残す予定ですが、このあたりはシステムとして形にしたいと思っています。

さて、パネルの場でも話しましたが、今回の講演者のみなさんは、実はインフォメーションアーキテクトである、というのが裏テーマでもありました。

さきにも述べましたが、これまでのクラシックIAは、サイトの構築という個別の情報媒体の設計であり、これはこれで重要な技術ではありますが、その手法はすでに一般化しつつあります。逆に言えば、すべてのWebサイト構築に関わる人は、事業者であってもエンジニアであっても、もちろんデザイナを名乗る人であればすべて、知っていなければならないスキルとなっています。

たとえて言えばグラフィックデザインに関わる人がタイポグラフィや色彩計画を知っている、くらいの基礎スキルです。

それに対して、今回のスピーカーの方々のトピックは、アクティビティのデザインであったり、レコメンドのしくみであったりと、「構造が生まれうるルールをどう作るか」、という観点にたっています。

最近よく紹介をしている、Andrea ResminiとLuca RosatiによるPervasive Information Architectureで提唱されている、IAのヒューリスティックスは、この「ゆるやかなアーキテクチャ」を実現させるための枠組みともいえます:

1. Place-making —the capability of a pervasive information architecture
model to help users reduce disorientation, build a sense of place, and
increase legibility and way-finding across digital, physical, and crosschannel environments.
2. Consistency—the capability of a pervasive information architecture
model to suit the purposes, the contexts, and the people it is designed
for (internal consistency) and to maintain the same logic along
different media, environments, and times in which it acts (external
consistency).
3. Resilience—the capability of a pervasive information architecture
model to shape and adapt itself to specific users, needs, and seeking
strategies.
4. Reduction—the capability of a pervasive information architecture model
to manage large information sets and minimize the stress and frustration
associated with choosing from an ever-growing set of information sources,
services, and goods.
5. Correlation—the capability of a pervasive information architecture model
to suggest relevant connections among pieces of information, services, and
goods to help users achieve explicit goals or stimulate latent needs.

Andrea Resmini & Luca Rosati / Pervasive IAより

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今回のWIADjを通して、日本でもIAについて、ようやくクラシックIAを越えたこれからの話ができるようになってきたことを実感しました。

このあたりは、今後より明確化していきたいと思いますが、役割としてのIAと成果としてのIAというものは、整理していきたいと思っています。