月別アーカイブ: 2008年6月

Symbian vs. Andoroid (and iPhone)

NokiaはSymbian OSのSymbian Limitedを買収すると発表した。

これに伴い、AT&T、LG、Motorola、NTTドコモ、Samsung、Sony Ericsson、STMicroelectronics、Texs Instruments、VodafoneとNPO Symbian Foundationを設立することを発表した。

Nokia to acquire Symbian Limited to enable evolution of the leading open mobile platform
http://www.nokia.com/A4136001?newsid=1230415

これに対して、The Wall Street JournalはGoogleのAndroidの携帯電話への搭載の遅れを記事にしている。

Google’s Mobile-Hnadset Plans Are Slowed
http://online.wsj.com/article/SB121418837707895947.html

記事によると、今年後半に発売予定だったAndroid搭載携帯電話は第四四半期まで発売されないとのこと。

Googleと30社のパートナーによるアナウンス、という書き方をしているが、T-MobileなどのAndoroid搭載機を発売予定だったキャリアとメーカーはリリーススケジュールの調整に苦労している、とのこと。

ドコモはOSにAndoroidを採用するんじゃなかったっけ?

NTTドコモ、携帯OS簡素化発表
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20080428nt0b.htm
(もっと長い記事があったのだが、削除されている)

アメリカではいろいろな端末が入り乱れているが、イギリスでは街を歩いているとみなNokiaだった。

4年くらいSymbian S60端末を使ってきているがSymbian携帯の最大の使い勝手(この場合、長期使い勝手:Long Term Usability)上の課題は、アプリケーションのマルチタスク切り替えではないかと思う。

S60では、「アプリケーション立ち上げ」の概念が重要で、一度立ち上げたアプリケーションは「切り替え」で移動、さっきまでの動作を引き継ぐことができるが、これを覚えていないとうまく使いこなせない。

また、各アプリケーションの中の振る舞いはアプリケーション依存なので、たとえばブラウザはタブのように複数ウインドウを立ち上げられるが、メールは「書きかけ」バッファは一つで、複数書きかけられない(「Draft」フォルダに入れればできるけど)。

もちろん、こんな面倒なことを考えずとも使うことはできるが、たとえばメールからURLをクリックしたとき、ブラウザのメールアドレスをクリックしたとき、Google Searchアプリの検索結果への遷移等、アプリ連携があるときの振る舞いは挙動不審なことが多い。

また、致命的なのは、ボタン操作で、上記の「アプリ切り替え」は「メニューボタン長押し」なので、これは使いこなせている人、アプリケーション概念を理解している人にしかうまく使えないだろう。

iPhoneではこの問題を「操作ボタンは一つ」という方法で解決している。

ユーザーは別アプリに移る際は常に「HOME」ボタンを押すしかなく、このとき立ち上がり済みかどうかはまったく意識する必要もなく、むしろ通常は意識できない。

操作上もすでに立ち上がっているアプリでは直前までの振る舞いが継承されるが、特に立ち上がり時間等で意識することはまずなく、自然で違和感がない。

iPhone 3Gによる黒船襲来に対して、日本では「デザイン優先携帯」としての扱いを行っているように見えるが、さすがにこういった「UIの基本文法」に関してのクオリティはAppleの企業資産として生かされている。

これは、開発プロセス、評価手法、設計のツール、関与するスタッフの種類、どの段階でだれが口を出せるかという文化、どの程度リサーチやプロトタイピングに時間を費やしそれらを前提にするか、ユーザーテストの実施とタイミングといった要素の有機的な組み合わせ方の、勘所や雰囲気といったもので作られるものだ。

Appleの内部事情はよく知らないが、たとえばどの程度の開発チームでどの程度のタスクを実施することが最適か、という経験則もここには含まれる。

経験された方はわかると思うが、モデル作りや、コアなコンセプト作りにおいては、あまり体制が大きいとなかなかプロジェクトが進まない。この場合はリサーチやプロトタイピングに最低限のスタッフと、意志決定に必要なキーパーソンのみの関与、がベストな体制となる。

このApple社のアドバンテージはとても重要であり、今後はPC関係だけでなく、情報プロダクトのデザイン一般において意味をなしてくるだろう。

My Bloody Valentine in Roundhouse

去る6月21日、15年越しでMy Bloody Valentineのライブを見ることができた。

マイ・ブラッディ・バレンタイン – Wikipedia

マイブラは僕にとってはPowers of Ten(イームズ)、ファインマン(物理)、リチャード・ソウル・ワーマン(編集者)、とならんで人生を変えた存在であるが、ライブを見るに当たって一抹の不安もあった。

キャンセルされた前回の来日公演の雪辱を遂げるために、公演が発表された昨年末に、日程も考えずにチケットをとったのだが(実際はそのときとったチケットはマンチェスター公演だったのだが、その後eBayでロンドン公演をゲット)、さすがに15年もバンド活動を行っていないわけで、はたしてちゃんと演奏できるのか?そして、肝心の音はどうなのか?

マイブラはアルバムを2枚しか出していないが、その2枚目「loveless(1991)」は、歪んだギターの多重録音、ダンスミュージックやさまざまなリズムの導入(でもロック)と、シューゲイザー(うつむいて靴紐(シュー)を見ながら(ゲイズ)轟音を鳴らすロックバンドのこと)の代表としてだけでなく、90年代ロックを代表するようなアルバムである。

ちなみに、日本ではマイブラ自体も人気があったが、当時発売されたフリッパーズ・ギターの3枚目のアルバム「ヘッド博士の世界塔」でプライマルスクリームとともにサンプリング(ぱくり?)されている。

90年代の来日予定当時から、「はたしてライブでこの音が再現できるのか?」というのは当時の僕らのまわり(とか下北沢界隈)での一番の関心事であり、ある意味日本のインディーシーンでもどうやればああいった音を再現できるのか?というのがギタープレイヤーにとっては研究の対象だった。

実際、テープに録音してああいった音を出すのと、ライブで出音としてああいった音にする、というのとでは、やりかたが全然違っていて、また単体でそういう音色を作っても、バンドアンサンブルとして観客席でそう聞こえるか、というのはまた全然違っている。

当時は、ロンドンや下北のクラブでもシューゲイザーナイトが盛んに開催されていた。当時住んでいた仙台ではそういったクラブイベントはなかったので、太朗くん、菅井くん、相原くんらとSUGAR BOWL(シュガーボウル)というイベントを開催したりしていた。

こういったイベントでは、むしろライブよりも純粋に轟音ギターサウンドを体験できていた。

というのは、ライブというのはやはり演奏者がいるので、みんなそっちを向いて、演奏を見たくなるものだが、シューゲイザーサウンドはどっちかっていうと音に埋もれたい音楽なので、演奏者がいない形態の方が純粋に音だけを楽しめるのだ。

当然こういったイベントでは、わりとみんなスピーカーに向かって下を向いて踊りともゆらぎともつかぬような怪しい動きをしていた。僕がオーガナイズしていたSUGAR BOWLでも、通常のハコではなく、レゲエ用のサウンドシステムがある場所でイベントを開催していた。轟音のために。

と、そんな事情があっただけに実際にライブを見るってのは、なんというか夢を打ち崩しちゃうんじゃないか?的な器具があったのであった。ということで、ライブはどうだったかというと、すばらしかった。待った甲斐があった。思っていた以上だった。

ケビンはギターアンプを5台用意(マーシャル、VOX、ハイワット)、ビリンダ側は2台かな?ケビンが右側、ビリンダが左側。リズムセクションのコルムとデビーが中央。

それぞれの音がモニターできるように、各自のブースは透明なパーティションで区切られていた。

一曲め、only shallowでスタート。まず轟音におぼれる。一同大歓声。

僕は、全体的な音を体験したかったので、前列ではなく、そのちょっと後ろあたりの、左右両方のスピーカーとちょうど正三角形になるあたりに陣取った。

1曲の新曲を除いて、ほぼlovelessからの選曲。

CDの音そのまま、ではもちろんないが、ギターの音はむしろCDよりも気持ちいい。ちなみにケビン、ビリンダは全曲ギターを換えていた。

ギターの音は、ジャズマスっぽい単体では若干ジャリジャリした音色に聞こえるが、全体的なバランスの中では「あの」loevlessの音になっている!この音を再現したくてバンドを始めた身としてはこのアンサンブルが聴きたかった!

ビリンダの歌声のバランスもまさに絶妙(ケビンの歌もよかったけど)。

コルムのドラムは、lovelessではケビンがサンプリングして、生のドラムプレイは一切使われていないと評判だったので、再現できるか不安だったが、みごとに再現というかプレイしていた。

どの曲も、オリジナル(CDの音)よりも凶暴で、音の壁というよりは、音の空間を作り出していた。

このライブの音源がリリースされたら(たぶんブートレグとかでも出回るんだろうけど)、CDよりもいいような気がする。

でも、空間としてのこの音は、ラウンドハウスの円形劇場的な空間と相まって、ここでしか体験できない音の気がする。

わりと好きなWhen You Sleepもよかったが、途中soonが始まるとやはりいてもたってもいられなくなり、最前線へ。前列ではさらにベースの音がぶんぶんうなっている。

いまいち全体のノリは悪いがさすがに中央の前の方ではみな踊り狂っている。

feed me with your kiss、you made me realiseと続く。もうこのあたりでは、ほとんど縦ノリ。

you made me realiseでは終盤ノイズパートが30分近くあった。その間、メンバーはおなじノイズを延々出し続けている。そして、終了。

約1時間30分のライブ(そのうちノイズパートが30分)。ケビンとビリンダはMCもなく黙々と演奏し続けていた。

クラブで流れる音より、レコードで聴く音より、断然よい。

最終的な、本当のマイブラの音が聴けた。

この音を出すために、15年研究したんだろうな、と思った。

まさに至福のライブだった。

このライブでケビンの職人的な気質を改めて実感できた。

フジロックは野外+複合イベントってことで別の不安もあるが、これはぜひ体験すべきライブだ。

080627追記:新曲はなかった模様

セットリスト

  1. Only Shallow
  2. When You Sleep
  3. You Never Should
  4. (When You Wake) You’re Still In A Dream
  5. Lose My Breath
  6. I Only Said
  7. Come In Alone
  8. Thorn
  9. Nothing Much To Lose
  10. To Here Knows When
  11. Slow
  12. Blown A Wish
  13. Soon
  14. Feed Me With Your Kiss
  15. Sueisfine
  16. You Made Me Realise

インディ・ジョーンズ – クリスタル・スカルの王国

宮村くんが行くよ!と言っていたのを聞いて、その気になってしまい、急遽先行上映に行って参りました。

さすがに混んでいるかなあと思ったけど、深夜12時半の回だとまだまんなかの席が残っていたのでゲット。

インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国

もちろん内容は書きませんとも(いや、オチはどっかの記事で読んでしまっていたんだけど)。

まあ、娯楽映画として作っているものなのでつっこむのは野暮ってものですが、あんなのに入っててもずいぶん痛いじゃないのかねえ(いたそうなシーンはインディ・ジョーンズお約束だからいいのか)。

あと、やっぱりわかっちゃいたけどハリソン・フォード老けたねえ。

体のラインが物語ってる。

IA day

去る6/13は一日IAイベントな日でした(もちろん通常業務もありますが)。

まず、午後イチで、アックゼロヨンシンポジウムにて情報アーキテクチャとは、という概論についてのセミナー。

アックゼロヨン・シンポジウム Vol. 1
サイト構造と情報設計 – インフォメーションアーキテクトの仕事

ここでの論旨は、1)情報アーキテクチャは職種ではなく職能としてとらえ、プロジェクトに関わる人みなが意識していくもの、2)IA技術自体は変わっていくが、基本的には利用者に対しての思いやりと、といった内容。

ウェブエコシステムにおけるIAや、設計の進め方におけるユーザー分析やユーザー経験フロー定義のあたりにも触れました。聞かれた方いらっしゃったら、ぜひ感想を伺いたいです。

その後、会社に戻り、通常業務をこなしつつ、夜にはIAAJワークショップとして、IA Summit 08報告会とIA Cocktail Partyを開催しました。

IA Summit 08 Redux in Tokyo Repor

IA Cocktail Party Tokyo Vol. 0

毎年実施しているこの報告会ですが、今年は報告者が3名だったこともあり、幅のある会になったと思います。

興味ある方は上記リンクから詳細をご覧ください(写真アリ)。

asahi.comリニューアル

またいつのまにかリニューアルしてました(asahi.com)。

が、なんかぴと来ない。

asahi.com renewal

ここで感じる違和感はおそらく以下のポイントに集約されると思われます。

  1. ヘッドライン(見出し)が目立たない(「PRエリア」みたい)。
  2. グローバルナビ真下の日付(6月11日ってやつ)とその下の色紙?みたいなものとがそのエリアでセンタリングされてしまっているため、ヘッドラインのコラムとの連続性が感じられず、独立コラムのようになってしまっている。
  3. 上記1.、2.のエリアは横に連なっていてもいいのであるが、そうは見えない。

天下のアサヒコムの、しかもトップページなんだから、もうちょっと威厳というかブランドをきちんと考えても罰はあたらないと思うんだけどねえ。あ、朝日新聞自体は好きにはなれないんだけどさ。

にぎやかな週末

土曜、朝食後に実家から笹巻きやらお肉やらが届く。
笹巻きとは、山形の郷土料理で、笹で餅米を巻いたもので、具が入っていないちまきみたいなもの。
山形ではこれに納豆やきな粉黒蜜をあえていただく。
笹に殺菌作用があることから生まれたものらしいが、確かうちの実家では近くに笹を取りに行って、それで巻いていた。
「近くに取りに行く」ってのが、幼い頃は当然な気もしていたし、買わないのがせこいな、とすら思っていたが、いまになってみるとむしろそのほうが贅沢と思う。
早速納豆で和えて昼飯にいただく。

08/06/2008

08/06/2008

ちなみに山形ではお正月の餅も主力は納豆餅で、のり餅、ぬた(仙台風に言うとずんだ、大豆をすりつぶしてつくる緑色のあんこ)餅、(小豆の)あんこ餅、そしてお雑煮(うちの実家は鶏出汁にゴボウ)といったバリエーションとなる。

いっしょにお肉も届いたので、せっかくだからと思い立って最近首都大学東京の助教に就任された安藤くんに電話して来てもらうことにする。

翌日日曜になぜかがらでもなく女性誌から拙宅を取材してもらうことになり、BBQ風景を撮影したい、とのリクエストがあったため、ちょうど切らしていた火起こしグッズやら食材を近くの西友に買いに行く。

しばし原稿などを書いた後、早速料理の下準備。メニューは、ラムチョップ、漬け込んだスペアリブ、タコのマリネ、ムーミンの料理本に出ていたヤンソンさんのグラタン、など。
スペアリブは生パイナップル、しょうゆ、蜂蜜、すり下ろしたニンニクで漬け込む。
ニンニクが上等すぎて(?)かなり味が強く、かつすり下ろすと粘りがでる。
タコマリネはオリーブで味付け。これまたニンニクがちょっと強いので若干辛め。
ヤンソンさんのグラタンはジャガイモの千切り、バター炒めしたタマネギ、アンチョビフィレに生クリームをまぶしたグラタン。塩気はアンチョビだけなのだがけっこうしっかりと味がつく。

参考:ムーミンママのお料理の本

と翌日の準備をしていると、安藤くんが到着。
しまった、今日の準備をなにもしていなかったと若干焦るが、まあ、お肉を食べながら、ととりあえず肉やそのへんにある野菜を焼きながら乾杯する。
お肉は塩こしょうしたステーキと薄切りを辛し醤油でいただく。
(うちにいらっしゃる方は事前にリクエストいただけると取り寄せますの言ってください)
今日は安藤くんの研究テーマについて話をするという前提が一応あったのだが、実は僕もよく知らなかった安藤くんの半生についてをプレゼンテーションいただき、あとはコミュニティ特有のコミュニケーション手順などについて語っているうちにお互いに酔っぱらい、いい気分になってきたので研究の内容に到達する前にお開きとなる。
10数年前の学生時代の提案書も一瞬で呼び出せる安藤くんの情報管理能力に驚く。

翌日曜。
コーポラティブハウス実地見学の一団が来邸。
思えばうちも家を建てる前に何軒か実際に見せてもらった経験が大変役にたった覚えがある。
理論と実践、ではないが、なにかをする、と決断をすると見えてくる課題というものはあるもので、これが「手を動かして考える」ということなのだろう。

続いて、雑誌取材の方々が来邸。
一通りご案内した後、火起こししてBBQ実演。
奮発して固い備長炭を買ってしまったため、なかなか火がつきにくく、また火がついてからはじんわり長く燃えるという、実に取材に不向きな火力であったが、なんとかそれっぽい感じになる。
編集の鈴木さんが段取りがよく、かつ判断が的確で、やはり現場を取り仕切る方はこうでなくっちゃと感心することしきり。
実に気持ちよく進められた。
撮影後はスタッフのみなさんとお肉やらをいただく。

さて原稿の続きにとりかからねば。

iPhone in Japan

最近忙しくてblog書いていなかったが、これは書かないとね。

「iPhone」について
2008年6月4日
ソフトバンクモバイル株式会社

この度、ソフトバンクモバイル株式会社は、今年中に日本国内において「iPhone」を発売することにつきまして、アップル社と契約を締結したことを発表いたします。

SOFTBANK MOBILE Corp. today announced it has signed an agreement with Apple® to bring the iPhone™ to Japan later this year.

http://www.softbankmobile.co.jp/ja/news/press/2008/20080604_01/