2017年10月21日に開催された、「デザイン教育の品質保証シンポジウム」に参加した。以下所感:
- 九州芸工大(現九大芸術工学部)の設立の理念は「技術の人間化」、「芸術・アートの工学化」の方向性ではないのだな、と漠然と感じた。
- 中国でのデザイン教育は、工業デザインを通り越してサービスデザインが重点課題化されていた(サービスデザイン教育は7大学で26コースが開講されており、35名の教員がいるとのこと)。電話線を引かなかったので携帯が普及したようなものか。
- シンポジウムは、日本、中国、韓国、台湾、シンガポールなどからのデザイン教育の実践者の観点が共有された。正直「デザイン教育の品質保証」ではなかったが、「問題意識とそれを受けたデザイン教育の方向性」のバリエーションを知ることができたのは収穫だった。
- ものづくり能力としてのデザインと、問題解決能力としてのデザインという言葉は使い分けられたり、混在していたり、整理されたりと扱いはさまざまだったが、その扱い方から逆にデザイン観が読み取れるのがよかった。
- 大連理工大の張先生の国際的なワークショップと単一国で閉じたワークショップの比較は面白かった。全体的にワークショップ型の教育はデザイン教育の標準になっていることを感じたが、ワークショップの品質についての議論がなかったのは残念。
- K2でもご一緒させていただいた九州大芸術工学部の古賀先生(哲学)から、議論において歴史に学ぶ視点がないという指摘があった。古賀先生からは、夏のK2ワークショップでも大変貴重な指摘をいただいた。デザインの議論において、特にこれからは哲学者の視点は超重要。かならず取り込まねばならない。